魂への誓い







「冬獅郎!?」
「日番谷隊長だ!」
 突然現れた想い人の出現に俺は驚きを隠せない。隊長という言葉を強調する冬獅郎の言葉も耳に入らず、ジッとその愛しい存在を見つめていた。
 触れたくて手を伸ばしそうになるのを抑え、どうして冬獅郎がここにいるのかを尋ねる。
「何でお前がここにいるんだ……?」
「任務だ。破面との本格戦闘に備えて現世組と合流しろってな」
 代わりに答える恋次だったが、俺の視線はただ冬獅郎だけを向いていた。当の本人は俺を無視して、教室中を見渡している。その様子が年相応の子供っぽくて、俺は少しだけ笑ってしまう。
「何だよ?」
 その笑い声が聞こえたのか、冬獅郎は俺を向いていつものような怒った顔をしていた。そんな顔でさえ可愛いと思ってしまう俺はきっと末期なのだろう。
「いや、何でもない……。それより破面って何なんだ?」
 さっきの恋次の言葉が少し気になり聞いてみると、答えは意外なとこから返ってきた。さすがの俺もそいつの方へ振り向いてしまう。
「たわけ!貴様がこの間ボコボコにやられた連中のことだ!」
「ルキア……」
 驚きもあったが、それ以上に教室の窓から侵入して立つその姿に呆れていた。するとルキアは突然走り、俺を死神化させて教室から引っ張り出していく。
「おい、どこ連れてく気だ!」
「すぐに分かる!」
 その言葉の通り一分と経たないうちに、ルキアは目的の場所へと辿り着き俺を投げる。立ち上がった俺の目の前には虚が立っていた。
 竦む俺の身体。
「何をしている!その程度の虚を倒すくらい訳ないだろう!」
「うるせぇよ!」
 ルキアに一喝され、そう返すも俺は剣を抜けなかった。原因なんて分かりきっている。虚の攻撃を避け続けながら、俺は剣を抜くことを恐れていた。その内なる虚を。
 だからこそルキアにそれを見抜かれていたことに驚いた。
「そんなんでお前は誰を護るというのだ!それとも剣を抜かずに誰かに護られたいとでもいうのか!」
「……!?」
 そうだ。俺は護りたい。あの破面とかいう奴との戦いだって、井上や茶渡、たつきを護りたかった。
 そして俺が一番護りたいその存在は――
「お前はその程度の男だったのか?」
「なっ!?冬獅郎!?」
 今まさに頭に思い浮かべていた存在が目の前にいた。幻かと錯覚しそうになったが、冬獅郎はさっき会った時の制服を着崩して俺を真っ直ぐ見つめる。
「……戦う覚悟がないなら今すぐ代行証を返せ。お前が戦わなくても、俺たち死神が戦う。お前は大人しく後ろで見ててもいいんだぜ?」
「馬鹿なこと言うなよ……。俺が後ろで見てるだって?ハッ、冗談じゃねぇ……!!」
 冬獅郎にこんな事を言われるようじゃ、俺もまだまだだよな。もっと強くなって、俺が冬獅郎を護る。向こうの世界で戦いが終わった後、そう決めたじゃないか。弱ったこいつの姿を見て、俺がこいつを護ると誓ったんだ。
 誰でもない、俺の魂に!
 俺は斬月を抜いて、立ち塞がる虚を斬りつける。その後ろでは満足そうに、冬獅郎とルキアが頷いていた。
「悪ぃな、迷惑かけて」
「……あんまり俺を幻滅させるなよ、黒崎」
「あぁ。俺はもっと強くなる……次にあいつらと会っても俺は絶対に勝ってみせる」
 そう言うと、冬獅郎は見惚れるような笑みを見せた。






 あぁ、俺やっぱこいつのこと好きだ