初めてあいつを眼にした時、すぐにあいつの姿をそこに見た

 能天気で馬鹿みたいで、こんな状況だというのに明るくて、そして今にも輝きそうな黄金色の髪

 焦がれるほどに大好きな色





素直になれなくて








「また難しい顔して何考えてんだよ」
 突然頭に降りかかる声。男が近づいていたことにさえ気づかなかった失態に舌打ちしそうになる。
「別に」
「別にってな……お前が俺に気づかないのも珍しいじゃん」
「うるさい」
 いつもこうだ。あの日々のことを考えると、どうしても周りが見えなくなる。
「……そうかよ。別に教えてくれるくらいいいじゃねぇか。お前は秘密が多すぎるんだよ、ジューダス」
「……ふんっ」
 頑なに口を閉ざそうとするジューダスを見て、ロニはだんだんと怒りが溜まってくる。二人の間には険悪なムードが漂い始めた。そんなもとに、明るい呑気な声が飛んでくる。
「おーい!ジューダスにロニもこっちで遊ぼうよ!」
 小川で水を浴びながら、二人に向かって大きく手を振っている。その隣ではリアラが笑ってみていた。その眩しい輝きを放つあの髪を見ると、ジューダスはいつも胸が張り裂けそうな想いになる。思わず無意識に自分の耳についてあるピアスに触れた。
「……ん?お前ピアスなんて付けてたのかよ。生意気だな」
 ロニがからかうようにジューダスの付けるピアスを見た。そのピアスは多少汚れているものの、小さく光輝く色を放っている。けれどそれは明らかに安物だとロニにも分かった。
「へぇ……お前でもこんな安物つけるんだな」
「黙れ!!」
「なっ……!別にそんな怒ることないだろ!」
 ジューダスが突然大声を上げるものだがから、ロニは一瞬ビビるも同じように怒鳴り返す。しかしジューダスは嫌そうな顔を浮かべ、立ち上がって歩いていく。
「あ、ジューダス!どこいくんだよ!こっち来て遊ぼうよ!」
 険悪なムードに気づいているのかいないのか、カイルはいつもの眩しい笑みを浮かべてジューダスを呼んだ。けれどジューダスにはその眩しい笑顔を直視することも出来なかった。






「素直じゃないですね、坊ちゃんも」
「黙れ、シャル」
 一人でみんなから離れたところまでやってくると、静かにジューダスは近くの木に腰を下ろした。すると見計らうように、誰もいないはずの声が降りかかる。
「本当はカイル君たちと一緒に遊びたかったんでしょう?素直にそう言えばいいんですよ」
「黙れと言ってるんだ!なんで僕があんな子供の遊びに付き合わなきゃいけない」
 ジューダスはシャルティエの言葉を必死に否定し、けれど本当はどこかで頷きたかった。
「おーい!!」
 複雑な想いでいると、ジューダスのもとにカイルが駆け寄ってくる。それによりシャルティエも口を閉じた。
「探したよ、ジューダス。こんなとこにいるなんて……」
「カイル……」
「ねぇ、ジューダスは俺たちと一緒にいてつまらない?」
「何を言って……」
 ジューダスにはカイルの言わんとすることが分からなかった。
「だって全然笑わないじゃん!」
「当たり前だ。何で僕がお前たちと一緒に笑わなきゃならない」
「ジューダス……」
 カイルはどこか困ったようにジューダスの名をつぶやいた。しかしすぐに何かを思いついたような顔をしてジューダスの腕を取る。
「カイル!?何をする!」
「いいから!ジューダスも向こういってみんなと遊ぶんだよ!」
「な、何で僕が……おい!離せ、カイル!」
「嫌だ!俺、絶対にジューダスを笑わしてやるんだ」
「カイ…ル……」
 ジューダスは目眩がした。似すぎている。カイルとあいつが、どこまでも似すぎている。今この瞬間だけ錯覚昔に戻ったような錯覚にまで陥ってしまいそうだった。






 昔もこうやってあいつが無理矢理僕の腕をつかんだりして、あいつらの輪の中に入れられていた

 けれどそれも本当は嬉しくて、ただ素直になれなくて



 それは今も同じだった